第131
12月場所の2
舫い舟は囚われではなく、船出に誘う姿なのかもしれない。
句作のあいだにイメージが入れ替ってゆくのに戸惑い、ふと下五を得た時、この句を大切に記憶しようと思いました。
俳句を作り始めてから、私はだんだん無口になった気がします。
ふさわしい言葉なんて、めったに見つけられないとわかってしまったのかもしれません。
駄目出しを続けてきたことへの労いでしょうか。それにしても、横綱…身に余る光栄です・・・やっぱり言葉になりません。
関取の皆様、天国の小石川関、審議委員の皆様、そして小作様。ありがとうございました。
日曜生関
お題は【行く年】でございまぁぁぁ〜す!

優勝

優勝:10
得点:28
累積:675
合計:713
8点以上

●冬樹:この句、作者自身の感情を表す言葉は、何も用いられていませんが、結語「沖を向く」から、来るべき年に向けて、希望や理想を抱く作者の気持ちが確かに伝わってきます。草田男の「はまなすや今も沖には未来あり」に通じる大変な名句だと思います。
●酔象:ゆるんだもやい綱、ゆっくり向きを変える、 動いている、静かだ。過ぎ去った時の移ろいを見事に描いた、まさに情景なり。
●豆春:冬の寒い水辺、絵になりますね。小舟も人に思 われるし、すごくいいと思いました。
●佳:「舫う」というのですね。船出の準備はできているとよむのか、解釈が広がる情景です。
●鷹目:沖を向く事が意志なのか、情景なのか。未知へ向かう思いでしょうか。
●かぼす:「舫われて」いるので、自由にはならないものの、舟に意思があるように、作者の気持ちと重ねているところが、悲しくも逞しい。

●楽が鬼:イメージと言葉の連想、過去を背にじっとしている「舟」は自分。そして沖を向くの下五が人生を暗喩しどっか〜んと利かして、写生の中に人生を描ききっている。
●酔魚:何故、舟が沖を向くのか?新しい年を迎えるにあたり、居住まいを正しているのでしょうか
●土羊:「舫」と「沖向く」の対比に妙味を感じます。
●阿美土:艫の先をどこに、新しい未来に向けるのか。明日を信じていく予感がいいですね。
●幻灯齋:中七の舫われし舟がもたつき、惜しい気がしますが一年を振り返ると同時に来るべき年に向かっての心意気が感じられます。
●小酔:港に舫ってある舟が、行く年と別れるように舫を解いて出帆。色々な解釈ができて面白いと思ったが下五の「沖を向く」がイマイチ。

殊勲賞

殊勲賞:5
得点:20
累積:665
合計:690
6点以上

●素松:着眼点も良く、リズムも良くてとても好きな句でした。
●三丁目:母への感謝。妻への感謝。自分の勲章。台所に立つすべての人の思いが込められている。
●小酔:正月料理を漸く作り終えた大晦日、今年最後の「まな板」を洗う。水の流れ、年の流れ、包丁の跡が今年一年の台所仕事を物語る。素晴らしいですね。
●夏草:〈まな板〉という具体と歳月という抽象の掛け合わせの妙や良し。

●冬樹:プロの料理人か、はたまた主婦か、あるいは主夫かもしれませんね。いずれにせよ、日常身の回りにある見慣れた物を徹底的に凝視し、「年流る」という季題の本質に至ったその力量は、見事と言うしかありません。
●日曜生:そしてその数ほどの料理と、家族の健康が背景にあるということ。生活の象徴を詠まれたような句です。
●楽が鬼:過去現在時の流れを、現実その典型のような生活の断片にあるまな板の傷跡に着目したのが句作にある発見という大手柄だと思う
●かぼす:まな板に刻まれた「料理を通じた思い出」もきれいに洗い流し、年を送る。気持ちのいい句ですね。

敢闘賞

敢闘賞:3
得点:15
累積:396
合計:411
7点以上

●天布留:しみじみと一年が終わるのだなぁ、と感じさせられた句です
●利根ノ雫:本当に月日が石を転がしたように過ぎて行きます。
●阿美土:抽象的詩味あふるる句です。転がる石に人生重ねます。
●緑地:まだまだ苔むす歳じゃございませんからね。
●はじめ:来る年はうさぎの跳ねる音を聞く
●土羊:転がる音は「カンカン」でしょうか?。
●黒髪:道すがら石ころを蹴ってみた。どんな響きか。乾 いた重たい音、意外にも軽妙な音。一年を表す音を聞いてみたい。
●三丁目:このフレーズには弱い。転げ落ちないで、転げ続けて来年も素晴らしい音を聞いてください。

○○○勝ち越し○○○
 

得点:13
累積:43
合計:56
5点以上

●舟酔:女性でしょうか?微妙な年齢のかすかな諦念のようなものが淋しく美しく伝わります
●おじや:黒いハイネックのセーター着た美人
●黒髪:年の経過を「逝く」と表記することに不穏な驚き がある。29歳の感性か。大掃除の最中に、そんな感覚を持つのは 心の成熟した人物だろう。
●三丁目:20代最後の年末。三十路を迎える思いが素直に伝わる。
●かぼす:29だとまだ数えられる、というか句としてまとまりますね。ぴかぴかに磨かれた窓ガラスと作者の若さも光っています。
●楽が鬼:未来を暗示させる窓の向こうに三十路の顔が透けて見えたのだろうか・・・29という数詞が微妙さ危うさが利いています

 

得点:11
累積:547
合計:558
5点以上

●珍念:世知辛い世の中の、ちょっといい話!? でも、この婆ぁ、またやるんだろうな……。
●舟酔:何かいいです。あっけらかんとした気性が好ましいです
●おじや:こういう時もありますよね。御赦免。
●酔象:このばばあ、当然万引きをまたくり返す。で も年末だし、まあいいよ。ライフルじじいの句も好きだが、ばばあ に負けた、合掌。
●小酔:年の暮、忙しいお巡りさんは面倒くさいので微罪のおばあさんを放免。「行く年」が救ってくれたのだ。

得点:9
累積:229
合計:238
5点以上

●幻灯齋:この一年は無駄だと思われる事や思うに任せない事がたくさんあり、それらを全部含めていい一年だったと言っているんでしょう。充実感のある遠道、回り道を端的に表現しています。そんな一年、羨ましい!
●日曜生:人生もいとおしんでいるようです。素直な表現、暖かな心情を感じて癒されるようでした。
●土羊:年末の思い。飾りの無いシンプルな表現に好感。

得点:7
累積:118
合計:125
5点以上

●写汰:自分と家族の距離を見つめなおすお正月。そんな雰囲気が伝わりました。
●酔魚:初詣に行くための父の靴をみがいているのでしょうか、老いた父によせる愛情の念が
●舟酔:しぼみし父の靴はどんなんだろう・・・ちょっと涙を誘います

得点:4
累積:-14
合計:-10
3点以上

●阿美土:年の仕舞いに、これでよかったと安堵する肯定感がいいです。
●素松:心のしこりを燃やすってところが好きでした。

得点:7
累積:199
合計:206
5点以上

●長閑:紅白など見て賑やかな居間からちょっと厠に立つと、外があまりに静かでしんとした気になる感じがありますね。一瞬を切り取って美しい句だなあと思います。
●豆春:年は闇に流れる、言葉が素敵です。厠も自然で 気にならないです。
●写汰:言葉のリズムはもうひとひねり欲しかったですが、いい着眼点だと思います。
●冬樹:言わんとする感慨はすごくよく解ります。「年流る」を冒頭と結語に分解した技巧も工夫の跡が感じられます。が、「厠立つ」というのは、文法的には「厠が立っている」としか読めない訳で、やはりここは「厠に立つ」とするべきでしょうね。

得点:6
累積:13
合計:19
5点以上

●長閑:暗い、寒いのフレーズを「好き」のひとことでぱっと明るい句にしていて、印象深いです。
●珍念:。冬は寒いもの、夜は暗いもの。当たり前のことですけどね。それが、珍しいのが現代!?

●豆春:なぜかかわいい人を想像します。私も好きよ、と言いたくなります
●酔象:好きとはっきり言われれば、納得してしま う。そんな乱暴な言い回しがいいから、下五がもったいない気がし た。思い切って、上五に行く年やで切って、寒い道が好きで終えた ら面白いのに、なんて思った。

得点:5
累積:29
合計:34
4点以上

●緑地:こんな風に感謝の心を忘れずにやっていきたい。
●黒髪:誰を送っているのか。店主が客を送る気持ちか。もっと深刻な出来事だろうか。人の背に礼をする場面は、ほとんどな かった。心を込めて生きたい。

● ●●大関負け越し●●●

得点:2
降格:8+6
累積:585
合計:571
8点以上

●天布留:人間社会から離れ、もしかしたら竜宮城へ迷い込めるかも。
●酔魚:水の中とは、いかなるシチュエーションなのでしょうか。昔、新年にダイビングに行ったことなどを思い出して、採りました。


● ●●関脇負け越し●●●

● ●●小結負け越し●●●

得点:58
降格:3+3
累積:644
合計:638
6点以上

●はじめ:うさぎの耳をつかんではなさないように。
●おじや 私も踏んだ〜
●珍念:飲みすぎですね、きっと。あなたも私も……。

得点:3
降格:3+3
累積:887
合計:881
6点以上

●幻灯齋:逆引き辞典が説明的で若干強引な気もしますが、面白いと思います。逆引き辞典を探しあてた心意気に敬意を表します。
●夏草:〈逆引き辞典〉という具体と歳月という抽象の掛け合わせが面白し。

●●●前頭以下負け越し●●●

得点:4
降格:2+1
累積:77
合計:74
5点以上

●鷹目:一瞬の刻印に時間を重ねるのは人の記憶。対比が鮮やかです。
●夏草:〈線状痕〉という具体と歳月という抽象の掛け合わ せが佳い。

得点:4
降格:1+1
累積:48
合計:46
5点以上

●利根ノ雫:この句を選んだ自分の歳が・・・。
●天布留:いつの日か平成も遠くなりにけり。それにしても一年の立つのが早い!!

得点:3
降格:1+2
累積:186
合計:183
5点以上

●佳:カウントダウン前の振り返りのひととき、きしきしの音が新鮮です。
●日曜生:「きしきし」で厳しい寒さのなかの改まった雰囲気がよくでています。一歩ずつ心を整えて歩いたのですね。

得点:3
降格:1+1
累積:42
合計:40
4点以上

●鷹目:思い出せずにいるところに、ゆく年を惜しむ哀切を感じます。
●佳:そうそう。深く頷く。
●緑地:毎年やり残したものがあるはずなのに、酩酊していて思い出せません。

得点:2
降格:1+3
累積:293
合計:289
5点以上

●はじめ:後半でめでたい事が重なりました

得点:2
降格:2+3
累積:244
合計:238
5点以上

●写汰:年越しに爪を切る。何気ないようですが、とてもドラマチックでした。

得点:1
降格:2+4
累積:95
合計:89
5点以上

●利根ノ雫:明るい未来、こうありたい。

得点:1
降格:2+4
累積:381
合計:375
5点以上

●長閑:筆名の由来が「いつか公平」だったと知ったのは亡くなってからでした。時代も汗と夢に消えて行くものですねー。

得点:0
降格:2+5
累積:697
合計:690
5点以上

得点:0
降格:2+5
累積:330
合計:323
5点以上

得点:0
降格:2+5
累積:522
合計:515
5点以上

得点:0
降格:4
累積:27
合計:23
4点以上


得点:11
累積:463
合計:474
5点以上


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